「んっ…」 微かに、小さな声が漏れた。 痛くないはずだけど……。 「痛い?」 手を止めて、そう尋ねた。 「ぁ…い、いえ……」 夏依ちゃんは顔を赤らめ、困ったような顔をしてキョロキョロした。 「何か…歯の奥を……グリグリ、されるような……嫌な、感覚が…して…」 目に微かに涙が滲んでた。 慌ててマスクも手袋も外して、両手でそっと夏依ちゃんの頬を撫でた。