「なぎたんサンキュ。助かるわ」
彼女にしては大降りなそれをぶんぶんと振る。
あだ名はなぎたんなのか。
「召喚?お姉さん召喚するの?」
「召喚…ってゆーのかな、これ。
私はただ単にお友達を引っ張り出しただけだよ」
神々は遍在する。
その性質を使って、彼女はここに瞬間移動してきた。
朱祢はそれをお友達――他の神々で行ったまでだ。
朱祢は空を受け持つが、受け持たない神もいる。
朱祢が手伝うことで来れるのだ。
確かに召喚とも言えるが――それは一方的。
先程もいったが、神といえど朱祢の友達。
きちんと電話を入れて、酒を奢る手前で呼んだ。
互いの了承を得ている。
「この子は熱田神。私はなぎたんって呼んでっけど、大抵は天羣雲(アメノムラクモ)とか草薙剣(クサナギノツルギ)とかって呼んでるやつだよ」
にやりと笑って。
「あ、あんた名前は?」
「俺?俺はアラベスク。ラスクって呼んで?そっちの方が可愛いでしょ、お菓子みたいで。
吸血鬼ではないけど、吸血獣みたいなものかな」
「吸血獣、ねぇ…」
聞いたことねぇな、とぼやいて。
「私は鳳凰朱祢。朱を受け持つから、東や火、あと貿易(召喚)なんかを司る神だよ」



