《キャラバト》白衣の保険医と黒い翼


――認めた。

ならばと、朱祢は目の前の敵に身構えた。

彼女だって戦えないことはない。


かちゃ、と携帯を取り出す。

臨戦態勢に相応しくないピンクの小鳥のストラップが揺れるのを、彼は目を見開いて眺めた。


「何してるの?」

「で、ん、わ」

静かにしろと睨み付ける朱祢。

やがて繋がったのか、警戒に会話を進める。

「もしもし?ちょっと貸してほしいんだけど。
あー…いやさ、今異国の神々が…ありがと!今度酒奢るわ」

ぷち、と切って。

「誰?男の子?」

「嫉妬深いやつだなー。いいだろ男友達ぐらい」

首にぶら下げた星形のストラップを取り出す。
服に入ってて気づかなかったが、とてもデカイ。
星形の真ん中にポツンと青白い小さい珠が置いてある。

【熱田神(アツタノカミ)】

詠唱。
ちゅ、と軽く星形にキスをする。

すると、星形から変な紋章があらわれ――そこから剣が出てきた。

ぬめりと光る、銀色の剣。
ギザギザと大胆な装飾が刃についていた。