「そ、それじゃあ」 無性に逃げ出したい気持ちになって、急いで階段をのぼろうとすると、 「あのさ」 呼びかけられて、足を止めた。 おそるおそる振り返ると、高槻くんと目が合う。 わたしのほうが高い場所に立っているのに、あっさり見下ろされてしまう。 何を考えているのかわからない真っ黒な瞳が、まっすぐにわたしを見つめる。 「よかったら、一緒に……回んない?」 いつもよりすこしだけ、声の張りがない。 弱気な視線に心臓を一突きされて、気を失うかと思った。