それでもキミをあきらめない


 

目の前のブラックアウトしたノートパソコンに、わたしが映る。
 
伊達メガネを外すと、血色の悪い貧相な顔しか残らない。
 

これなら、のっぺらぼうのほうがずっとマシ。

わたしが男でも、こんな冴えない女と一緒にいるなんて無理だもの。
 

ふと思い立ってマウスを動かした。
 
検索窓に文字を打ち込むと、ずらりと結果が表示される。
 

パッチリした目をつくる方法。
 
めざせ愛され顔。
 
モテる髪型研究所。
 

モデルの子はどの子も笑顔を輝かせていて、わたしとは違う人種としか思えない。


「やっぱり無理」

「おい、奈央」
 

急に部屋の扉が開かれて、わたしはあわててブラウザを消した。