それでもキミをあきらめない


 

1年1組の星野彗(ほしの せい)は、高槻くんが属するグループの頂点と言われていて、外見だけでなく言動もとても目立つ。
 

いますぐ芸能界デビューしても良さそうなほどの完璧なルックスと、女の子を引きつけてやまない甘い笑みと、4人のイケメンを束ねるカリスマ性を備え持つ、この学校のアイドルだ。



『あんなブスに告るなんて、ほんとすげーよ』
 

男のくせに甲高い、金属みたいな声が耳の奥でこだまする。
 

わたしが黙りこむと、ふたりのあいだにはまた沈黙が降りる。
 

当然だ。
 

高槻くんだって、本当はわたしとなんかしゃべりたくないに決まってる。
 
こうやって並んで歩くだけで、本当は気が重いのかもしれない。
 

罰ゲームだから、仕方なくやっているだけ。
 

あとでわたしを、笑い者にするために。