それでもキミをあきらめない


 
無造作に髪をかき上げる彼の、かたちのいい額に、目が吸い寄せられる。
 
同学年の男子より落ち着いて見える高槻くんは、髪が下りているだけでずいぶん幼くなる。
 
つい見とれていると、


「賭けに負けたから」
 

さらりと告げられた言葉が、わたしの心をひっかいた。
 

賭けに負けたから。
 
それはつまり、罰ゲームだったということ。


「また……賭け、したんだ」

「え?」
 

つぶやきを拾われて、わたしはハッとした。


「う、ううん。あの、高槻くんたちって、よく仲間同士で賭けして遊んでるなって思って」
 

あわてて笑顔をつくる。 
 
自分への告白が罰ゲームだったことには、気づいてないふりをしようと思った。
 
ここで高槻くんに謝られたら、余計みじめになるだけだ。


「ああ、セイがそういうの好きで、よく考えるから」

「セイ……」
 

金色の髪が、頭の中で稲妻のようにはじける。