2組の教室で騒いでくれたおかげで、
クラスメイトたちはわたしと高槻くんの関係に気が付いたのだ。
あんなふうに高槻くんを挑発するような態度を取ったのは、
もしかしてわざとだったんじゃないかなとも思う。
こんがらがりそうだった糸を、まっすぐにのばした星野彗。
そんなふうに考えてしまうわたしは、ちょっと彼に甘すぎだろうか。
苦笑しつつ、わたしは高槻くんを見上げる。
「ごめんね、わたし、しばらくメイクは続けたい」
いままで止まっていた時間を、取り戻したいと思った。
ほかの女の子がそうしているように。
「わたしもちゃんと、女の子を楽しみたいなぁと思って」
そう言うと、高槻くんはちいさくため息をついた。


