わたしはもう、他人の目を気にしていない。 注目を浴びること自体には慣れないけれど、 前よりも、堂々としていられるようになった気がする。 「帰ろう」 ポケットで温まっていた大きな手が差し出されて、わたしはおずおずと指を伸ばした。 指先がしっかり絡んで、高槻くんの体温が流れ込んでくる。 「空気が、澄んでる」 ぽつりと低い声が落ちて、わたしはくすぐったい気持ちに襲われた。 秋から冬にかけて空が澄んで、寒さが増す代わりに、夜になれば星のきらめきが冴える。 「今度、星でも観に行こうか」