○。
教室の掃除を終え、ほとんど人のいなくなった生徒玄関から外に出ると、冷たい風に巻き付かれた。
マフラーしてくればよかった。
気温は一段と下がって、見上げればもう冬の空が広がっている。
首を縮めて歩いていると、校門に寄りかかる人影に気が付いた。
「高槻くん!」
ポケットに両手を突っ込んで、わずかに背を丸めた彼が、こちらを見る。
「ま、待っててくれたの?」
「ああ」とうなずく彼にわたしは慌てる。
「寒かったんじゃない? 教室にいても良かったのに」
「……そっか」
いま発見したというような顔で、彼は大きな目をまたたいた。


