となりから、朝子の冷静な声が響く。
「まるで茹でダコのようだぞ」
「えっ」
あわてて両手を頬にあてた。
高槻くんに負けないくらい、わたしの顔も熱くなってる。
学年トップの才女はちいさくため息をつき、参考書をめくった。
「先日、高槻礼央から、奈央に星野彗を近づけさせないでほしいと頼まれてな」
思いがけない告白に、わたしは驚いた。
「朝子ちゃん、あのグループの人たちのこと、苦手なのかと思ってた……」
わたしが窓から高槻くんを眺めていると、いつも呆れたように
「何がそんなにいいんだ?」と冷めた目で見てきたから。


