教室内が、しん、と静まり返る。
視線の集中砲火で、さすがの高槻くんも動きを止めた。
無口で物静かなイメージの彼が、星野彗に向かって怒鳴っているだけでも物珍しいのに、
いつものポーカーフェイスが、みるみる赤くなっていく。
首まで真っ赤に染めて、高槻くんが、一瞬、わたしを見る。
ためらうように黒目を揺らし、彼は椅子にしがみついている星野彗の首を、容赦なくホールドした。
「くそ、馬鹿セイ!」
「ぐ、ぐるし」
うめき声を上げる星野彗を強引に教室から引きずり出し、高槻くんはそのまま廊下に消えていった。
「照れた」
「照れてた」
教室のいたるところから「高槻照れた」とぽつぽつ声が上がる。
わたしは気が抜けて、落ちるように席に座った。


