顔面偏差値トップ5のうちのふたりがそろって、クラス中が注目しているというのに、
彼らはまったく意に介したようすもなく、言い争いを続けている。
星野彗は見知らぬ男子生徒の椅子にしがみつき、必死に抵抗していた。
「離せレオ! 首が締まる! 殺す気か!」
「セイ、お前は他人のクラスに軽々しく入りすぎだ!」
「彼女のクラス、それすなわち俺のクラスでもある! 奈央ちゃああん」
「どう考えてもお前は隣りのクラスの人間だろうが! ていうか気安く呼ぶな!」
「なんでだよ! 奈央ちゃんはみんなのものだろ!」
「俺のだ!!」
高槻くんの張りのある声が、ひときわ大きく響き渡った。


