高槻くんと朝子のあいだで交わされる言葉に、わたしはぽかんと口を開けてしまう。
「ど……どういうこと?」
ふたりの顔を交互に見ていると、
秀才朝子が机に広げていた参考書を、高槻くんに向かって掲げて見せた。
「あ、そうそう。もらった図書カードでさっそくこれを買わせていただいた」
「……ああ、そう」
高槻くんは少し決まりが悪そうにわたしから視線を外し、星野彗の襟首をつかむ。
「ていうかセイ! お前は振られた相手にしつこく迫ってんじゃねえよ」
暴れるアイドル男子を引きずるようにして、高槻くんは出口に向かっていく。
「うるせえ! 俺はエンジェルチャージしねぇと死んじまうんだよ」
「知るか」


