「振られたあとも俺がつきまとったから、小塚をよけい苦しませた」 そう言ったあとで、「でも」と、ちいさく付け足す。 「それでも俺は、絶対あきらめないって決めてた」 どうしてだろう。 まっすぐのぶれない目で、高槻くんはわたしを見る。 地味で、暗くて、殻から出られないでいるわたしを。 高槻くんも、朝子も。 変身したあとでさえ、ふたりは、わたしに対する態度が変わらなかった。 見た目じゃなくて、私自身を、しっかり見ててくれた。 そこにあるはずの殻を、ものともせずに。