「罰ゲームで告ったんじゃないよ」
大きな手が伸びてきて、わたしは肩を震わせた。
うつむいたわたしの頬に、ほんの少しためらうように、あたたかな手が触れる。
「セイたちには、ちゃんと次の日に罰ゲームやってみせたし」
「次の、日?」
「制服のまま、プールに飛び込んだ」
目の前を閃光が走って、わたしは思い出した。
高槻くんに告白された次の日、校門でわたしを待っていた高槻くんは、
バケツの水をかぶったみたいに、全身びしょ濡れだった。
――俺、泳げない。
決まりが悪そうに言った声を覚えてる。
罰ゲームの内容は、ありえないこと。
泳げない高槻くんが、プールに飛び込んだ。


