こぼれてく。
コップいっぱいに溜まった水のように、胸に収まりきらない感情が、あふれだす。
目じりから、頬をつたって流れ落ちる。
「だって、罰ゲームって……」
星野くんたちと、地味ブスに告るなんて、ありえないって……。
靴箱の向こうに聞いたのだ。
胸を締め付けるのは、復讐の残骸だ。
真っ黒な毒が、わたし自身に回っていく――
「うん、ごめん。全部、状況が見えてなかった俺のせい」
苦しそうに眉を寄せて、高槻くんは立ち上がった。
「俺が焦って小塚に告ったから、周りの奴が勝手に勘違いしたんだ」
ブランコから離れた彼が、真正面に立つ。


