「ごめん」と、高槻くんはひと言、つぶやいた。
「俺が近づいたら、小塚に迷惑がかかるって、分かってなかった」
日陰の生活を好んでいた草花が、急に真昼の太陽に照らされて、しおれてしまうように。
高槻くんと一緒にいることで注目を浴びたわたしが、ひどく戸惑っていることに気が付いて、
彼は朝の迎えや学校内での接触をやめた。
「それでも、どうしてもあきらめたくなくて」
高槻くんは言いづらそうにわずかに表情を歪める。
自分を抑えるように、眉間にしわを寄せて、
「だってずっと……想ってたんだ。転校したあとも、忘れたことなんかなかった」
低い声が、わたしの胸を貫く。
「小4の、あのときからずっと……好きだった」


