「最初はただびっくりしてさ、正直意味もわかんなかったけど」
ブランコの前の柵に腰を預けて、高槻くんは優しく言葉を続ける。
記憶を辿るように、丁寧な口調で。
「その日から、凹むと自然に、その子の言葉を思い出すようになった」
――弱い人が強くなって誰かを助けたら、その助けられた人はまた強くなって、誰かを助けると思わない?
強くなって、誰かを助ける――。
「誰を助けるんだよって、いろいろ考えてたら、弟の顔が浮かんでさ」
なぜそう思ったのかはわからないけど、と付け足して、高槻くんは乾いた地面を見つめた。
同じ年くらいの女の子に助けられて、
恥ずかしさと、悔しさと、
それからほんの少しの、くすぐったい感情。


