――復讐は終わりにしろ。
太陽が西に浮かび、青い空が、かげりはじめる時間。
手を引かれるまま、自宅へ続く通りを進んでいく。
どちらも口を開かず、ただ、お互いの体温だけが手のひらで溶ける。
頬をかすめていく冷たい風が、なんだか切ない。
黙ったまま前を向いていた高槻くんが、不意に振り返った。
喜びも怒りも感じさせない、まっさらな顔で、ぽつりとつぶやく。
「ちょっと、寄り道しよう」
そう言って、彼は通りかかっていたコンビニの脇道に入った。
連れられるまま、入り組んだ細い通りをくねくねと歩いていく。
地元の人にしか分からないような道を、すんなり進んでいく彼に、わたしは驚いていた。


