それでもキミをあきらめない



○。


無言のまま電車に揺られること10分、わたしの家の最寄り駅に着くと、

高槻くんは当然のように電車を降りた。


ひと言もしゃべらないのに、手はずっとつながれたままで、

まるでわたしが逃げ出さないようにと、捕まえているみたい。


といっても、わたしは実際に何度も話をせずに逃げ出してるから、

彼は本気で捕まえているのかもしれなかった。


今度こそ、きっちり話をするために。


観念して高槻くんの後ろを歩きながら、

気持ちを落ち着けるために何度も深呼吸を繰り返した。


頭によみがえってくるのは、翔馬の言葉だ。