それでもキミをあきらめない




「うおっ!?」


勢いのままわたしの正面に立つ人物に抱き付いた星野彗が、奇妙な叫び声を上げた。


「な、な、なにしてんだよ、レオ」


動揺した表情が、広い背中越しに見える。

わたしは動けなかった。


目の前の背中から低い声が落ちる。


「セイ、お前はすげーいいヤツだ」

「はあ?」


高槻くんの言葉は、なぜかずしりとわたしの心に横たわった。


星野彗は見た目からしてチャラくて、いつも女の子に囲まれてて、軽薄そうで、

それでも、悪い人じゃない。


高槻くんはそれを知ってるからこそ、彼らのグループで一緒にいるんだ。