「だ、だけど……」
「テレビの女優とかだってさー、環境に揉まれて垢ぬけてく感じあるじゃん? それと同じだよ」
言ってる意味はあんまりわからないけど、とにかく、メイクでもなんでも、彼は気にしないのだという。
おかしい。こんなはずじゃ。
話が思いがけない方向に進んでいって、ますます焦りがつのっていく。
「で、でも、わたし、やっぱり星野くんとは」
「俺と別れたいの?」
すっと真顔になった彼に、心臓が跳ねた。
それまで浮かんでいた笑みが消えるだけで、落ち着かない気持ちになる。
表情を消した星野彗には、なんだか迫力がある。
「冗談でしょ? 俺よりいい男なんて、そういないよ」
「そ、それは」
確かに、外見だけで考えればそうかもしれない。


