「それで?」
思ったよりもさらりとした声音に、顔を上げた。
星野彗は拍子抜けするくらい普段通りの表情で、
不思議そうに目をぱちくりさせている。
「奈央ちゃんが可愛いのはメイクしてるから。うん、了解。んで?」
「でって……。わ、わたし、本当はブスだから、星野くんとは付き合えない……」
「え、なんで?」
予想外の反応に焦ってしまう。
「なんでって、星野くん、可愛い子が好きなんでしょ?」
「奈央ちゃん可愛いじゃん」
「だから、これは仮の姿で――」
本当のわたしは全然可愛くなんかない。
卑屈っぽいセリフをなかなか言えないでいると、星野彗は思いがけないことを言った。
「いいじゃん。今可愛いんだから」
「……えっ?」
今度はこちらが驚く番だった。


