イチョウの葉に自然に溶け込んでしまう、金色の髪。
もっと早く彼の性格を知っていれば、こんなふうに巻き込んでしまうことも、なかったかもしれない。
「どうしたの、奈央ちゃん」
星野彗は不思議そうにわたしを見下ろしてる。
下ろした手をぐっと握りしめた。
この人には、なんの罪もない。
そりゃあ、わたしのことを地味ブスと呼んで笑ってはいたけれど、
そのあだ名で呼ぶ男子は星野彗だけではないし。
そもそも、あの罰ゲーム自体を考えたのは、高槻くんなのだから。
「ごめんなさい……もう、星野くんとは、付き合えない」
言いながら、握りしめた手に汗がにじんでくる。
本当のことを言うのは、恐い。
でも、今言ってしまわなければ、わたしたちの心は、もっと複雑にこんがらがってしまう。


