○。


回る。

ぐるぐる回る。

頭の中で、翔馬の言葉が、何度も何度も繰り返されてる。


本当に、自分勝手で、予測のつかないことばかり言う兄だ。

振り回されるこっちの身にもなってほしい。


復讐してやれと、自分で焚きつけておいて、もう終わりにしろ、なんて……。


「奈央ちゃん、具合悪い?」


急に目の前に顔が現れて、わたしはちいさく悲鳴を上げた。

心配そうな星野彗の表情に、慌てて首を振る。


「全然、悪くないよ」

「ほんと? 昼のときも元気なかったけど」


身体をかがめて、わたしの顔を覗きこんでいる星野彗は、茶色の眉をハの字に下げている。

見ていないようでよく見ているなぁと、妙に感心してしまった。