「な、なに、急に……」
たまらなくなって、わたしは身体を起こした。
憐れまれてる理由が、よくわからない。
「言ってることが、意味不明……」
抗議するように言っても、兄は自分の話をやめなかった。
「俺の言うこと真に受けて、復讐なんてしちゃってさ」
「な、なにそれ……」
「でも、前を見るいいキッカケにはなっただろ?」
そう言うと、翔馬は不意に表情を崩した。
それは今まで一度も見たことのない、びっくりするくらい優しい笑顔で。
「だからもう、復讐は終わりにしろ」
傷だらけで血のにじんだ心を、
柔らかく、包もうとするかのように……。


