SHRを終え、そのまま授業に入った先生の板書の文字を見ながら、
翔馬の顔を思い出して、ちいさくため息をついた。
昨日、高槻くんを家の近くの公園に引きずって行ったあと、兄はきっと、彼から何かを聞いたのだ。
わたしが怖くて避けている話を。
高槻くんの口から、『ごめん』という言葉を聞きたくなくて、
わたしはずっと、彼と話すことから逃げている。
罰ゲームの告白に過ぎなかったのだと、
わたしの見た目が変わったから、関係を終わらせなかっただけなのだと、
高槻くん本人の言葉で聞かされるのは恐かった。
彼の低い声で、思い知らされたくなかった。
メイクをしていない、本当のわたし自身は、
ありえない存在でしかないということを。


