『わたしの友人を侮辱するのは――』
涙が、頬を伝っていく。
廊下を通りかかる生徒たちから顔を隠すように、わたしはうつむいた。
ぽたぽたと、床に涙の粒が落ちる。
「うわ、小塚? どうした」
教室に入ろうとしたクラスメイトの男子が、驚いたように声をかけてくる。
地味ブスのままだったら、こんなふうに話しかけられることなんて、絶対になかった。
――奈央はあなたたちのように、美しくあろうと努力しているだけ――
涙がどんどんあふれ出て、わたしは両手で顔を覆った。
「小塚?」
クラスメイトの男子に何も答えられないまま、わたしは、しばらくその場から動けなかった。


