それでもキミをあきらめない




らせん状の四角い階段を4階ぶん駆け下りると、

わたしはひと気のない階段裏に向かった。


高槻くんが下りてくる気配がないことを確認し、

後ろからついてくる星野彗に向き直る。


びしりと指を突きつけると、アイドル男子は驚いたように目をまたたいた。


「奈央ちゃんどうしたの、こわい顔して」

「星野くん、今度さっきみたいなことしてきたら、もう、あなたとは一生口を利かない」

「え、さっきみたいなことって?」

「だから、急に押し倒してきたり、無理やり……その」


言いよどんでいると、長い人差し指がわたしの唇に触れた。


「――キス、ダメなの?」


少し首をひねって、さみしそうな表情を見せる彼に、心臓が跳ねた。


なに、その顔……。

男子のくせに、そんな表情するなんて。