押しのけようとしても、いつも簡単にすり抜けられるはずの細い身体は、びくともしなかった。 「無駄だって。俺、これでも男だよ」 苦笑され、廊下や教室では、敢えて彼が力を緩めていたのだと、ようやく悟った。 「ちょ、星野く」 まるで化粧をしているみたいに、毛穴ひとつないきれいな顔が、ゆっくり近づいてくる。 長いまつ毛を見せつけるように目を閉じる。 ぞくっと背筋が震えた。 ――キス、しようとしてる!? 「や――」