それでもキミをあきらめない




4階の高さから見渡せる景色に、木々の赤や黄色が目立つ。

肌寒くなるにつれて、季節は鮮やかになり、そして色あせていく。


「でさー、教師がそんなこと言っていいのかって言ってやったんだよ。そしたらさ」


器用なんだか何なんだか、星野彗はパンを頬張りながら、ひたすらしゃべり続けていた。

わたしが相槌を打たなくてもお構いなしで、今自分が言いたいことをためらいなく声にのせている。


本当に、マイペースだなぁ。


周囲のことを一切考えない、鈍感な言動。

だけど、それこそが、星野彗の強さであり、魅力であるのかもしれなかった。


「ねえ星野くん」


一向に止む気配のないおしゃべりに口を挟むと、彼は「ん?」と笑顔でわたしを見た。

屈託のない視線に、わたしのほうが緊張してしまう。