「彼女!? なにそれ!」
「だってセイ、このあいだ年上の女に疲れて『しばらく彼女とかいらないや』って言ってなかった?」
星野彗の彼女事情なんて気にも留めたことがなかったけれど、
彼は最近どうやら年上の女性と別れたらしい。
「気が変わったんだよ。なんたって運命のエンジェルに会っちゃったからさぁ」
派手女子三人組の顔が引きつりを通り越して青ざめていく。
トゲどころか相手の生命を容赦なく奪うサバイバルナイフみたいな視線を受けて、
わたしは今後の学校生活が終了したことを理解した。
周りの友達が離れていって、ひとりきりになってしまうことが何よりも苦痛で、
それならば、最初から自分ひとりでいればいいと思っていた。
そうすれば、失うものは何もない。
でも、考えが甘かったかも……。


