高槻くんの目を見られないまま、わたしは地面に向かって話し続けた。 感情を抑えたつもりだったのに、声が震えてしまう。 「もう、十分でしょ?」 顔を上げると、ひどく苦しげな表情の高槻くんが目に入った。 「もう、わたしには関わらないで」 「違う、小塚。俺は本当に――」 「わたしは殻から出るの」 力を込めて言うと、彼は「え?」と驚いたように言葉を切った。