「俺、いろんな場所に行くのが夢なんだ」 何の障害物もないまま、空は彼方まで広がっている。 海も大陸も関係なく、何にも阻まれることなく、空は世界を均一に覆っている。 宇宙にだって繋がってる。 「世の中には、俺の知らないことがまだまだたくさんある」 そう言ってわたしに目を戻すと、高槻くんはほんの少し照れくさそうに笑った。 「すごい……なぁ」 高槻くんの言葉に、ため息が漏れてしまう。 わたしは、わたしを覆う『殻』からすら、出ることができないのに。