「うち共働きで両親いないから、気にしないで上がって」
「え、でも……」
「奈央ちゃん、一緒にゲームしようよ」
わたしの手を取って中へ引っ張ろうとする遼くんを、高槻くんが後ろから遮る。
「奈央ちゃんとか呼んでんな。ってかお前は熱があるんだろ」
「ないよ、もう下がったし」
「とりあえずもう一回計るから。大人しくしてろ」
「はあい」と言いながら廊下の奥に駆けていく遼くんから視線を戻し、高槻くんは「リビング、こっちだから」とわたしを促した。
「お……お邪魔します」
わけがわからないまま、わたしはひとまずローファーを脱いで、玄関にそろえた。


