それでもキミをあきらめない




指をさされて固まっているわたしに、高槻くんは気づいたように少年の頭を軽くたたいた。


「ごめん小塚、これ、弟。遼、挨拶しろよ」


促され、男の子は目をきらきらさせながら食い入るようにわたしを見る。


「たかつきりょう、2年生です」

「あ……小塚、奈央です」

「兄ちゃんのカノジョ」


繰りかえす遼くんの手を掴み、高槻くんは歩道へと歩き出す。


「ヘンなこと言ってないで、帰るぞ」

「カノジョじゃないの?」

「そうだけど……お前、カノジョの意味分かってないだろ」


彼らの後ろを歩きながら、わたしは頬の火照りを抑えられなかった。



カノジョって!


そうだけどって!


……わたし、高槻くんの彼女なの!?