「お父さんが帰ってきたら、このこと話すからね」

あたしは、ぎょっとして、立ちあがった。お父さんに言われたら、マズイ。

「ねえ、お願い! お父さんには秘密にしておいてよ。ねっ、来月からちゃんと一万円以内におさめるからっ。ねっ、ねっ?」

手を合わせて、拝むようにして頼んだが、母は眉間にしわをよせた。

「いーえっ、もうゆかりの言うことは信じません。今回のことは、お父さんに決めてもらいます」

母は背を向けて、リビングを出て行った。あたしは、ため息をついてイスに座り込む。

「どーしよ……」

一万円以内でおさめなかったら、考えがあるとか言っていたけど、なにをするつもりなんだろう。

一ヶ月風呂掃除とかですみますように、とあたしは神様に祈った。