ケータイ奴隷

わたしがリビングを出ると、二人の話し声がもれ聞こえた。

「なんだか、ゆかりのやつ、やけに大人っぽいこと言ったな」

「ほんと、どうしたのかしらね」

わたしはそれを背中で聞きながら、階段をあがった。

夕日の沈んだ暗い部屋で、電気をつけずにケータイを手にする。

彼女は、今あの暗くて狭いところで、泣き叫んでいるだろう。

ふふ、とわたしは笑い、電源を切ってあげた。少しでも苦しみが減るように。

そして開いたままのケータイを両手で持つと、力を込めて、ベキリと山折りにした。真っ二つになったケータイを床に落とす。

「さよなら、ゆかりさん……」

わたしは、笑い声が止まらなかった。

足元にはわたしの体だったケータイの残骸が落ちていた。