ケータイ奴隷

「ああ……ケータイなら、もういらないよ」

「えっ?!」

父と母は、世界がひっくり返ったような声をあげたので、わたしはくすくすと笑った。

「やだなあ、なにそんなに驚いているの?」

「いや、あれだけケータイケータイって騒いでいたのに、そんなこと言うから。しかし、どうしたんだ急に?」

父が呆気にとられたようにきいてくる。

わたしはうつむくと、膝に向かって言った。

「せっかく手に入れた体を他のケータイにとられるなんてごめんだもの……」

「え? 今なんて言ったの?」

母が聞き返してきたので、わたしは微笑みながら顔をあげる。

「ケータイがないとつながっていられないような友達はいらないって気づいたのよ。だからもういいの」

はー、と父と母が関心したような声をあげた。

「じゃあ、代わりに外食でもしようか。久しぶりに回転寿司なんてどう?」

「おお、いいねえ。おれビール飲むから、運転頼むぞ」

「はいはい。ゆかりもすぐに着替えてきなさい」