ケータイ奴隷

うっ、うう、と肩を震わせて泣いていたあたしは、画面を見て目をこすった。

さっきまで一個しかなかった電池が、三個にまで回復している。それにケータイは今にも火がでそうなほどに熱かった。

返事がこない……ああ、もうだめだ。あたしがそう思ったときだった。

『~♪~♪~♪』

オルゴールの音が響いた。着信音に設定してあるそれが、ゆったりとしたリズムで鳴っている。

こんなときに誰から電話だろう、とあたしは画面を見た。

「え……?」

画面に表示された番号――それは紛れもなくあたしのケータイ番号だった。

ケータイがかけてきているんだ……。

ためらったが、あたしは通話ボタンを押し、ケータイを耳にあてた。

「もしもし……」

『ゆかりさん、わたしです。ケータイです』

ケータイの声は予想していた機械音ではなく、まさしく人間の声だった。

しかし、その声は幼女のような老婆のような、つかみどころのない不思議なものだった。