ケータイ奴隷

「ねえ、りさとえみと海に行くんだけどいいかな?」

「いいけど、気をつけてね。足が届かないところまで泳いだらだめよ」

はーい、とあたしはめんつゆの入った器に、刻みねぎを入れる。

高校生の男子も一緒なんて言えば、なにを言われるかわかったもんじゃない。

痩せなくちゃいけないと思っていたのに、おにぎり三つと山のようなソーメンをすべて平らげてしまった。

お腹がいっぱいになったあたしは、ソファーに寝転んだ。あー、涼しくて気持ちいい。

「ちょっと、昼寝なら部屋でしなさいよ」

食器を片付けながら、母が注意してくる。

あたしの部屋はクーラーがないので、そんな中で昼寝なんてできない。聞こえていないふりをして、そのまま目を閉じた。


じっとりとした暑さのなか、あたしは目を覚ました。

涼しい風はどこにもなく、網戸から夕日とともに生温い風が入ってきている。

「もお、なんでクーラー切ってんのよ。汗かいちゃったじゃん」

あたしは起きあがると、洗濯物をたたんでいる母に文句を言った。

「クーラーはあんまり体によくないんだから。自然の風が一番一番」