ケータイ奴隷

「ただいま」

と言いながら、あたしは靴をぬぎ、リビングへ向かう。

テーブルに通学カバンを置き、通知表を取り出す。

母に渡して、冷蔵庫を開けた。冷えた麦茶をコップに注いでいると、

「あら、英語が4だわ。数学も3になってる」

と母が驚き混じりに喜んでいた。ふふん、とあたしは麦茶をゴクゴク飲んだ。

母は通知表を大切そうに閉じた。

「お父さんに見せたら、喜ぶわよ」

「うん、着替えてこよーっと」

あたしは通学カバンを手に、二階へあがった。制服を脱ぎ、Tシャツに着替える。充電をしようと思ったとき、階下から母の声がした。

「お昼ソーメンとおにぎりでいい?」

「お腹減ったから、先におにぎり作ってよ」

あたしは、なにをしようとしていたのかをすっかり忘れて、部屋を出た。

クーラーのきいたリビングで、あたしは氷がたくさん入れられたソーメンを、ズルズルと音をたてて食べる。