ケータイ奴隷

あたしは日差しが照りつける道端で呆然とした。

当たり前のように盗めばいいとメールしてきたケータイが、あたしは怖くなった。

【それって万引きしろってこと? 万引きは犯罪だから、そんなことできないよ】

そう送信する。

『♪♪♪』

【できないんですか? それなら、わたしもケータイを使えないようにしようと思います】

「わっ、ちょ、待ってよ」

慌てて返信ボタンを押す。

【お願いそれだけはやめて】

あたしは呼吸をすることも忘れて、送信した。

『♪♪♪』

【でしたら、してくれるんですね?】

どうにかして、ケータイの機嫌を損ねないようにしないと、とあたしは必死に考えた。

だけど、いい方法は思いつかなかった。お金もないし、やっぱり、万引きするしかないかも……。