ケータイ奴隷

【画面が汚れているので、柔らかい布地で拭いてください】

柔らかい布地とまで指定されている。

「ティッシュじゃだめなのかよー」

あたしが呟くと、まるで見通していたようにメールが届いた。

【ティッシュはやめてくださいね。今ひとつキレイになった感じがしないので。それと清潔な布でお願いします】

あたしは、ケータイを机に置くと階段を降りた。

「おかーさん、清潔な布ってある?」

洗ったお皿を食器乾燥機に入れていた母が振り返る。

「今日洗ったばかりのタオルが脱衣所にあるけど……なんに使うの?」

あたしは答えずに、脱衣所でタオルを一枚つかむと二階へあがった。

角をつかって、ケータイの画面をふく。

ちゃんとやらないと、ストラップのときのようにケータイを使えないようにされてしまうから、できるだけ丁寧にふいた。