昼休みの教室はあまり人がいなかった。七月の半ばだっていうのに、男子は外でサッカーなんてして、元気がいい。

中学二年生ともなると、あたしは日焼けが気になって、こんな日差しが降り注ぐ時間に、外なんかに出る気にはなれなかった。

だから、こうしていつものグループでお菓子を食べながら、だらだらと話している。

「でもさ」とえみがポニーテールを揺らす。

「今の話、マジだったら夢みたいじゃん? 料金払わないで、ケータイ使いたい放題なんてさー」

でしょでしょ、と自分の話に乗ってきたことがうれしくてたまらないように、りさがうなずく。

確かに、あたしもそう思った。

「あたしんち、ケータイ料金のことで親がうるさいんだ。先月、二万円越しちゃってさあ。一万円でおさめないと、考えがあるとか言って脅してくんのよ。マジうざいっての」

うちもだよ、と言いながら二人はケータイを開いていた。細い首が折れてしまいそうなほどうつむいて、メールの返信をしている。

あたしも、とりあえずケータイを開いてみた。ケータイは一番好きなピンク色で、ゲームでとったものや、友達がお土産でくれたご当地もののキャラクターストラップをじゃらじゃらつけている。

数日前にメル友になった他校の男子生徒から、メールが一件届いていて、黙々と文章を打つ。

しばらく、カチカチやっていると、「あ、そうだ」とえみが顔をあげた。