ケータイ奴隷

「……ケータイに人格ってあるの? つーか人格ってゆーの?」

あたしは画面を見ながら、ブツブツつぶやく。人格というのかケータイだから携格というのかはどうでもよかった。

あたしはすぐに返信ボタンを押す。

【じゃあ、これからもずっと使えるようにしてくれるの?】

期待を持って送信した。

『♪♪♪』

メールが届き、あたしはうずうずした気持ちで開いた。

【はい わたしはゆかりさんのけーたいですから あのすみませんがでんちがひとつしかないのでじゅうでんしてもらえませんか どうもちからがでなくて】

あたしはすぐにコンセントにさしっぱなしにしていた充電器を、ケータイにつけた。

『♪♪♪』

【ありがとうございます ちからがでてきました ゆかりさん これからよろしくおねがいします】

あたしは斜め上を見あげる。

なんで機械のケータイに人格が芽生えたのかはわからないけど、電波を自由に使えるから、これからメールも電話もし放題ってことなんだ――。