ケータイ奴隷

『へ~、急にかあ。あ、あのさー数学の宿題何ページだったからか教えてくれない? メールでうつのだるいからさ、りさに聞こうと思ってかけたんだ』

「うん、ちょっと待って」

あたしは通学カバンから、数学の教科書を取り出すと、ページを告げた。

『ありがと。でもさ~、なんで解約したのに、復活したのかなあ? すっごい気になるんだけど』

「あたしにも、わかんないだよね……」

あ、とえみが声をあげる。そーだ、そーだ、と言う声が続く。

『ねえ、それりさが言ってた話に似てない?』

あ、とあたしも声をあげる。

とある女性がケータイ料金を払っていないのに、ケータイが使えるようになったとかいう話。

「確かに似てるかも……」

『だよね、でもあれ確か続きがあるっぽい言い方してたよね? なんだったっけ~?』

真剣な口調で思い出そうとしているえみに、あたしは笑ってしまった。あれはただの都市伝説なのに。

「きっと、ケータイ会社のミスだよ。解約したの忘れて、使えるように設定したかなんかでさ」

『そうなのかなあ……。ま、だったら黙って使っちゃいなよ。ケータイ会社が悪いんだからさ。じゃーね』

バイバイ、と言って、あたしは電源ボタンを押した。