ケータイ奴隷

あたしは一時間目の休み時間に、【ケータイ解約されることになりました。しばらく連絡とれません】とリアルに書きこんでおいた。
こうしておけば、色々な人の目に入るだろう。

二時間目の休み時間になり、同じ内容のメールを送ろうとしたあたしは、はっとした。圏外になっている。もう母が解約をすませてしまったのだ。

本当にこんなことになったら素早いんだから、と歯軋りをして、もう使えなくなってしまったケータイを通学カバンに入れた。

もう解約されてしまったことを言おうと、りさとえみのところへ行くと、机にひじをついてケータイの画面に見入っていた。
親指を、せわしなくカチカチと動かしていて、あたしが横にいることに、まったく気づいていない。

あたしは、そっと自分の席へ戻った。教室を見回すと、友達としゃべりながらケータイを扱ったり、何人かでケータイの画面を見て、大笑いしたりしている。動画でも見ているのだろう。

あーあ、つまんない。

疎外感ってやつを味わいながら、あたしは机に寝そべった。