ケータイ奴隷

いつもの待ち合わせ場所である公園の前には、すでにりさとえみがいた。

「おはよー」

とケータイ片手ににこやかに言ってきた二人の表情が、ぎょっとしたようになる。そりゃ、この顔を見れば誰だって驚くだろう、とあたしはうつむいた。

「ゆかり、どうしたのよ。昨日泣いたの?」

えみが、心配そうに顔をのぞきこんでくる。

「目すっごい腫れてるよ」

りさが痛々しそうに見てきた。

あたしは、また涙があふれてきて、学校へと歩きながら二人に昨日のことを話した。

「ええっ、ケータイ解約されちゃうのっ?」

りさが、すっとんきょうな声をあげて、足を止めた。

「うん……今日。ひどいよね、言ってくれていれば、絶対に気をつけていたのに」

「マジでひどいねー。ありえないよ」

えみも、自分のことのように怒ってくれた。

はあ、とため息をついて、あたしは校門をくぐる。